心理臨床とイメージ 第4回 風景構成法
風景構成法の回。
それに着想を得て開発した、絵で描く箱庭療法だ。
この風景構成法では、紙にサインペンを用意して、
指定された順番で10個のアイテムを描いてもらい、
最終的に色を塗って完成させる。
この「サインペン」を使うというのは、
あとから修正しないようにするためにあえてサインペンを使う。
バウムテストでは、鉛筆と消しゴムが用意されるので、
そことは大きく違う。
また、アイテムは一つ一つ順番に示される。
この順番は標準化しており、クライアントに、
一つずつ書いてもらうたびに、次のアイテムが指示される。
川
山
田んぼ
道
家
木
人
花
動物
石
以上10個を書いてもらったら、
ほかに自由に何かを付け足して書いてもらってもよい。
その後、書いてもらった絵に色を塗ってもらい、
その絵の季節や、時間帯などをクライアントに教えてもらう。
最終的にこの絵を、セラピストが解釈するのだが、
ここで重要なのは、描かれた絵を解釈するのではなく、
書かれたプロセスをよく観察して、それを含めて解釈することが、
必要になる。
白い紙に、最初に川を描くが、川を書いた後に、
山と指示されるので、紙のどの部分にどの程度の大きさで
山を描くかは、難しい判断になる。
最初から10個のお題がすべて明かされていれば、
計算してバランス配置をしながら風景を作れるのだが、
わざと計算して風景を作ることができないようになっているのだ。
したがって、描くときに、バランスを取りながら風景を作ることは
難しく、本人は頭を悩ませることになる。
そのプロセスなども観察しながら、解釈の材料にする。
個人的に、この風景構成法は、
バウムテストに比べて、やらされる側としては難易度が高いと感じると思う。
とくに、なるべくバランスの良い風景画を描こうと思う人にとっては、
非常に難しく、プレッシャー度が高いと思う。
逆に、あまり何も考えない人は、出されたお題のイラストを
風景として構成せずに、並列的に10個描くだけの人もいるだろう。
実際に「○○は描けない。」とか「色は塗りたくない」などと、
いわれた場合は、無理強いすることなく、そのままにして完了するようだ。
風景構成法は、作業としてちょっと難易度が高いテストだからこそ、
その分、本音が出やすいのかもしれない。
事前に、クライアントとの信頼関係がないと、
うまくいかない危険性をバウムテスト以上に感じる。