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放送大学で頑張って勉強する日記です。

心理臨床とイメージ 第4回 風景構成法

風景構成法の回。

 

風景構成法とは、日本人の中井久夫氏が、

河合隼雄氏の講演を聞いて、箱庭療法を知り、

それに着想を得て開発した、絵で描く箱庭療法だ。

 

この風景構成法では、紙にサインペンを用意して、

指定された順番で10個のアイテムを描いてもらい、

最終的に色を塗って完成させる。

 

この「サインペン」を使うというのは、

あとから修正しないようにするためにあえてサインペンを使う。

 

バウムテストでは、鉛筆と消しゴムが用意されるので、

そことは大きく違う。

 

また、アイテムは一つ一つ順番に示される。

この順番は標準化しており、クライアントに、

一つずつ書いてもらうたびに、次のアイテムが指示される。

 

田んぼ

動物

 

以上10個を書いてもらったら、

ほかに自由に何かを付け足して書いてもらってもよい。

 

その後、書いてもらった絵に色を塗ってもらい、

その絵の季節や、時間帯などをクライアントに教えてもらう。

 

最終的にこの絵を、セラピストが解釈するのだが、

ここで重要なのは、描かれた絵を解釈するのではなく、

書かれたプロセスをよく観察して、それを含めて解釈することが、

必要になる。

 

白い紙に、最初に川を描くが、川を書いた後に、

山と指示されるので、紙のどの部分にどの程度の大きさで

山を描くかは、難しい判断になる。

最初から10個のお題がすべて明かされていれば、

計算してバランス配置をしながら風景を作れるのだが、

わざと計算して風景を作ることができないようになっているのだ。

 

したがって、描くときに、バランスを取りながら風景を作ることは

難しく、本人は頭を悩ませることになる。

そのプロセスなども観察しながら、解釈の材料にする。

 

個人的に、この風景構成法は、

バウムテストに比べて、やらされる側としては難易度が高いと感じると思う。

とくに、なるべくバランスの良い風景画を描こうと思う人にとっては、

非常に難しく、プレッシャー度が高いと思う。

 

逆に、あまり何も考えない人は、出されたお題のイラストを

風景として構成せずに、並列的に10個描くだけの人もいるだろう。

 

実際に「○○は描けない。」とか「色は塗りたくない」などと、

いわれた場合は、無理強いすることなく、そのままにして完了するようだ。

 

風景構成法は、作業としてちょっと難易度が高いテストだからこそ、

その分、本音が出やすいのかもしれない。

事前に、クライアントとの信頼関係がないと、

うまくいかない危険性をバウムテスト以上に感じる。