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【読書感想】生涯発達の心理学 高橋恵子・波多野 誼余夫著

非常に気になる著者の「波多野 誼余夫」の読み方は、

「はたの・ぎよお」らしい。

 

この本は、発達とは以前は20歳ぐらいまでを対象として

考えられてきたが、現在では生涯発達するという考えが、

さまざまな調査で明らかになったというような話。

 

歳をとるということが、衰えと考えれているが、

実際はかなり高齢になっても発達しており、

実際に衰えるのは、一定年齢になってからというより、

死去する前の数年間が衰えていく過程となっているという。

 

 高齢者は、今までの経験から自分をよく知っており、

自尊感情も高く、何らかのエキスパートであり、

思われているほど衰えた存在ではないということをさまざまな調査や実験で、

しめされているということをまとめている。

 

いままでの高齢者は若者より衰えているという主張は、

知能テストや作業スピードを試すテストをしていたため、

これらは、学校教育を受けている最中の学生のほうが

普段からペーパーテストを受けているため、ペーパーテストの点が、

高くなりやすいという傾向や、単純なスピード競争であれば、

若い人が成績が高くなりやすいだけであり、

高齢者の有能さを調査する方法としては適切でなかったという指摘である。

 

また、逆に乳幼児のほうが、よく発達するという考え方も、

実際の調査ではかならずしもそうとも言えないとしている。

 

2,3歳ぐらいの子供は、次々と言葉を覚えるので、

言葉を覚えるには幼児期が最も良いと誤解されているが、

実際に調べてみると、2,3歳児より、10代前半のほうが、

言語を覚える能力は高く、

2,3歳児が、言葉を覚えるのが早いと思っているのは、

年の割には、早く覚えるという意味でしかないという指摘だ。

 

 また、2,3歳児は、すぐに言葉を覚えるが、

逆にすぐに忘れてしまう傾向が高く、

アメリカで英語が話せていたのに、2か月ほど日本に帰ってきたら、

すっかり英語を忘れてしまった幼児の例などが挙げられている。

 

このようにこの本は一般的に思われている発達についての先入観を

実際の実験や調査によって、反論している本だ。

 

章ごとに話の内容が目まぐるしく変わるが、

全体的には面白いエピソードが多いと思う。

 

 

生涯発達の心理学 (岩波新書)

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