心理臨床とイメージ 第5回 箱庭療法
小野けい子先生の最も得意な分野でもある箱庭療法の回。
箱庭療法の創始者でもあるカルフ女史の自宅に取材に行って、
その子息であるマーティン・カルフ氏のインタービューもあり、
前回にもゲストで出た山中康裕氏が、箱庭療法が日本に普及した裏話なども
語っており、非常に充実度の高い回だ。
全体的に、箱庭の解釈よりも、箱庭療法を行うこと自体の
治療的意味についてかなり重視した内容となっている。
山中康裕氏がまだ30代のとき、カルフ女史の
箱庭療法の本をすでに自分が翻訳していたのに、
河合隼雄氏が、この出版を許可せずに、
むしろ河合隼雄氏のかいた箱庭療法の本が先に出版されたことについて、
当時は相当腹が立ったが、今思えば、箱庭の解釈中心の本である
カルフ女史の翻訳本を先に出してしまったら、箱庭療法が解釈中心に
なっただろうから、いまおもえばあれでよかったと思う。
と、率直に語っているのは、かれがもう70代になっているからなんだろうなと思う。
そもそもの心理学の学問領域そのものとは関係はない話だけど、
当時の人間関係を示す裏話としては面白いと思う。
この箱庭療法は、バウムテストや
風景構成法に比べて、道具を用意するのに費用がかかる方法と思うが、
実際に、自分がやるとしたら、バウムテストや風景構成法より
はるかにやってみたい気持ちになる。
というか、どこかでできるならぜひやってみたいのだが、
成人でも箱庭療法がうけられるところが、あるのだろうか?