精神分析とユング心理学 第7回 精神分析的治療論
クライアントとセラピストが面接するにあたって、
時間や場所、カウンセリング方法などを意図的に設定することについて。
状況に応じてどのような方法を取るのかを考えたうえ、
契約をして本格的な面接を行う。
個人療法を行うのか、集団療法を行うのか
家族面接も並行して行うのか、兄弟を含めて合同家族療法を行うのかなど
性格などを踏まえて、検討する。
またセラピストの経験や技能の点を踏まえて検討する。
また、自由連想法を用いるのがそのクライアントに適しているのか?
精神病水準が顕在化していない潜伏性のクライアントに
自由連想法を行うことで、精神病を顕在化させる危険性もある。
また、精神分析を行うにしてもプロセスに異なる。
自由連想に重点を置き、症状の力動的観点に重点を置いた
解明的かかわりを選択する場合もある。
症状の背景にある力動を明るみに出すことが
かえって心の混乱を招きかねないと判断する場合は、
健全に働いている防衛機制を強化することを目指す場合もある。
クライアントの自我に支持的にかかわる場合もある。
クライアントとの面接をクリニックの通いで面接が可能か?
激しい不安発作があり、病院に入院して行うのが望ましいのか?
など施設のバックグランドの選択も両者を守る重要な意味がある。
時間的な構造も重要になる。
1回の面接が50分か30分か、
週に1回か、週に2回、もしくは4回か?
面接の期間をあらかじめ区切り、半年など期間を設定する期限付きか、
それとも面接の期間を定めないのか?
一つ一つクライアントに合わせて検討する。
対面も90度に位置するのか、180度に位置するのか、
両者の物理的の距離など空間的な位置関係も考慮もする。
治療構造を決める判断には、治療の展開がどのように生まれるか、
実際の経験に先んじて予想が関与している。
治療構造論が持つ重要な機能は、このような構造を設定したら
どのような治療現象が引き起こされるか、先見的に前もって予測する点にある。
セラピストが必ずしも自分の意志で選択できない物的
文化的、社会的条件もまた、非意図的な治療構造として
クライアントとセラピストの間に生じる。
入院したほうが良い状況であるのに入院する病院が見つからない場合、
また、本当は学校から離れた場所でカウンセリングをしたほうがいいのだが、
学生なので、有料の施設を利用できず、学校の無料の学生相談を
利用するしかないの場合などがある。
心理療法の限界を見据えておくことが必要になる。
セラピストが意図しないが自然に形成される構造がある。
たとえば、クライアントが面接の前に必ずトレイを利用する習慣、
また、面接の後必ずトイレを利用する習慣などが、
形成された場合、面接前後のどのような心理に結びついているのか?
などを検討する。
以上が外的な治療構造となる。
また、内的な治療構造もあり、セラピストとクライアントの約束がある。
ほかの場所では会わない、頭に浮かんだことを話さなければならないなどがある。
クライアントに葛藤や不安がどのように表れるのかを見ると、
クライアントの内的な世界を理解する視点が広がる。
精神分析には、基本的な規則として、自由連想と 禁欲規則がある。
自由連想は思ったこと何でも加工せず話すということ。
禁欲規則はそれを行動に移さないということ。
数回のアセスメント面接の後、精神分析的面接をする際に、
自由連想と禁欲規則を伝えて、契約をする。