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放送大学で勉強中

放送大学で頑張って勉強する日記です。

【読書感想】サイコパス 中野信子著

読書感想

本屋で目立つところに置いていたので、

気軽に手に取ってみた。非常に読みやすい文章であるので、

ひまつぶしに読んでみるのに最適な難易度である。

 

もともとサイコパスとは、連続殺人犯などの

反社会的な人格を説明するために開発された診断上の概念ではあるが、

近年の研究により、脳内の器質のうち、他者に対する共感性や

「痛み」を認識する部分の働きが、

一般人とは大きく違うことが明らかになってきた。

 

まずは、歴史上名前がこのっているような、

犯罪を行ったサイコパスのエピソードを紹介してる。

これらの犯罪者が、善悪の判断を持たず、

犯罪者として捕まった後も、自分が行った犯罪行為を、

悪いこととしては理解しない様子などが具体的に表現されている。

 

そして、またサイコパスの中には、良心を持たないのだが、

同時に頭が良いので、犯罪は侵さない程度にとどめながら、

人を巧みに利用して生きていく

犯罪者ではないサイコパスの例を紹介している。

 

これらのサイコパスの生まれる理由として、

脳の構造や、遺伝子の変異が関連していることを紹介している。

 

実は、脳の構造や遺伝子によって、犯罪を犯す傾向が生まれるという話は

別の本でも読んだことがあったため、私は驚かなかった。

脳の構造および遺伝子と犯罪者との関連について記載していたのは、

インターネット界では「精神科Q&A」という著名サイトを運営する

Dr.林こと林公一氏の著作「名作漫画で精神医学」でも同様に紹介されている。

おそらく精神医学や脳科学界隈では非常に有名なことなのだろう。 

名作マンガで精神医学

名作マンガで精神医学

 

 

近年遺伝子や脳の構造についてどんどん科学的な研究が進んできており、

思った以上に遺伝子などの先天的な要素が、性格に影響を及ぼしており、

遺伝子構造として、共感を持たない、社会性を持たない人に対して

良いと思われる教育環境をあたえても、

犯罪者になったり、反社会的な行為を行う傾向があるということが

わかってきている。

 

よい生育環境や、よい教育は無力ではないが、万能ではないということなのだ。

 

また、同時にサイコパスは一般的には反社会的な存在なのに、

どうして進化の過程で淘汰されなかったのかということについても考察している。

 

サイコパスは、共感性を持たず、恐怖心を持たないため、

一般人では到底恐ろしくてできないようなことを、

平気で行ってしまうような一面があり、

状況によって、このような大胆不敵な面が、

社会にとって役に立つような一面もあると指摘している。

 

サイコパスは、プレッシャーをものともせず、大胆な判断ができるため、

企業経営者や弁護士、マスコミ、外科医などに向いているという。

逆に看護師や福祉士、教師、内科医などのケアをするような仕事には向かない。

 

ただ、この本でも指摘されているが、

サイコパスは決して幸せではないのかもしれないという点だ。

共感性を持たずにこの現代社会で生きていくことは、

有利な一面もあることはあるが、結局は不利であるということだろう。

 

犯罪者になってしまい、収監される可能性も高く、

仮に犯罪者にならずとも、共感性を持たずに

周りの人を利用して生きていった場合は、短期的にはトクな面もあるのだろうが

時間がたつと、利用され続けた人は去っていくだろう。

 

 サイコパスという人々が生まれるのは、

人間の多様性という意味で考えると、

マクロ的な視点では仕方ないのかもしれない。

 

しかし、サイコパスの行動に振り回されて、

被害を受ける人も一定数生じてしまう。

個人としては、このようにどうしても先天的要素で、

通常とは言えない残酷なことを躊躇なくできる人も、

存在するのだということを頭に入れて、

自己防衛しつつ生きるしかないのかもしれない。

 

サイコパス (文春新書)

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