今日のメンタルヘルス 第1回 メンタルヘルスとは何だろうか
メンタルヘルスについての授業。
この授業は厳密的に言うと心理学の講義ではなく、
どちらかというと福祉・看護系の授業になる。
この「今日のメンタルヘルス」は、
「認知行動療法」の授業と同じで、
先生が一方的に話すのではなく、
生徒役の人と、対話しながら授業を進める方式となる。
第一回目の授業は主任講師の石丸昌彦先生が担当している。
この先生はおどろくほど説明が上手でびっくりする。
いままでの先生方の中でもトップクラスの講義のうまさだと思う。
授業の最初から、WHOの健康の定義の紹介から始まる。
健康とは、身体的・精神的・社会的に完全に良好な状態にあることであり、単に病気ではなく、病弱でもないことに尽きるものではない。
WHOによる健康の定義
そして、WHOが開発したDALY(障害調整生命年)という指標を紹介している。
これは、ある特定の疾患による寿命の短縮(YLL)と、
その疾患による健康の損失を時間に換算したもの(YLD)の合計で換算される。
つまり、がんのように、致命的なことが多い病気ではYLLが大きくなり、
精神疾患のように寿命の短縮は少ないが、
長期にわたって生活の質を損なうものはYLDが大きくなる。
病気というと死亡率ばかり注目されるが、
致命的ではなくても生活の質が落ちる病気も問題であるということが、
この最初の授業ではっきり統計的に示されているのはよいとおもう。
日本では、アメリカなどに比べて精神疾患が少ないが、
これは、単純に精神疾患がすくないのか、それとも、
精神疾患をきちんと診断できる医師や医療施設が十分かどうかや、
患者自身が、積極的に精神科医療を利用しようとするのかという、
点も絡めて考えないといけないという点を指摘している。
現在、精神医療の世界的流れとして、「閉鎖的処遇から開放的処遇へ」と
「病院医療から地域医療へ」という二つが存在する。
西欧では、精神科病床数が減ってきているが、
日本では逆に精神科病床数が増えた後、近年は横ばいになっている。
医師と患者の関係は、パターナリズムの考えがあったが、
現在では、インフォームドコンセントと自己決定の流れが存在する。
最後に、メンタルヘルスの歴史として、
紹介している。
これだけ多くの話を、無理なくまとめて紹介しているのは
すごいなと思う。今後の授業も楽しみだ。