【読書感想】精神分析の名著 ―フロイトから土井健郎まで 立木康介編著
精神分析の名著について、それぞれ簡単な解説をつけて紹介している
いわゆるアンチョコ本。
しかし、精神分析の世界について、その歴史を概観できるので、
なかなかよいとおもう。
取り上げられているのは、S・フロイト、クライン、A・フロイト、
それぞれの章ごと著者が違っており、
日本の現在の精神分析家たちがそれぞれ分担して、
それぞれの名著の内容をダイジェストで解説している。
わりとと取り上げられているのだが、
それ以外の精神分析家については簡単に触れられているぐらいで、
あまり詳細は取り上げられていないため、このような本は参考になる。
この本を読むと、精神分析の世界は、決して一枚岩ではなく、
実は各派閥というようなものがあり、それぞれ対立したり、
いろいろとあった歴史が理解できる。
ダイジェストの解説といっても全体的にはかなり難しいので、
私も読んでもほとんどわからない章もあるのだが、
それぞれの派閥の歴史がわかって興味深い。
割と面白かったのは、「序章」と「症例ドミニク」、「甘えの構造」などの
解説がわりと簡単で理解しやすかったが、
あまりよくわからなかった章も多かった。
これは完全に読み手である私の勉強不足だと思う。
とりあえずわかるところだけでも読んだという感じだが、
よんでよかったとおもう。
半年後に読んだときはもっと理解できていればよいなとおもい、
いったんこの本を閉じる。