心理臨床の基礎 第7回 臨床心理アセスメント
今回は小川俊樹先生が担当している。
主にこどもに対する対応をされている臨床心理士の先生2名が
ゲストとして参加する形式になっている。
児童相談所で仕事をしている先生によると
療育手帳の発行を検討する場合は、
田中・ビネー知能検査を使って知能の判定をしているとのこと。
また、この検査をするのが難しい年齢が小さい子の場合は、
遠城寺式乳幼児発達検査で実施する。
小学生以上で知能検査が難しい場合は、S-M式社会生活能力検査をつかっている。
また、各地の児童相談所によって使っている検査が異なるが、
新版K式発達検査を使っているところもあると聞いているとのこと
児童相談所のかかわっているお子さんを
施設に預ける、里親に預ける場合にもビネー式知能検査やWISCを使うことが
よくある。発達障害的な特徴がある場合はWISCを使うことが多い。
人格面の検査ではP-Fスタディ、SCT、バウムテスト、HTPなどが
よく用いられている。
非行についての診断の場合、DEL(非行傾向診断検査)を使う場合がある。
虐待を受けた子供の診断の場合、TSCC 子供用トラウマ症状チェックリスト
をつかうことがある。これは自分でチェックを入れる方式。
虐待を受けている子供のチェックリストとして
ACBLというチェックリストがある。
解離の症状が気になるお子さんの場合
A-DES(思春期用の解離性スケール)を使うことがある。
子供の場合はCDC(子ども版解離評価尺度)を使う。
行動が気になる場合は、CBCL(子供の行動チェックリスト)を使う場合もある。
病院勤務の心理士の先生は、主に小児科や新生児科の先生から
依頼を受けて知能検査などを実施しているとのこと
年間100件強の検査を実施している。
20件ぐらいは再検査で、80件ぐらいは新規の検査になる。
医師からの指示で発達障害の可能性がある場合などに検査をする。
年齢によって使う検査を選ぶ
3歳から5歳ぐらいの子の場合、新版K式発達検査をつかう。
小学生や中学生は、WISC-IVやK-ABCを使う。
ほとんどの場合はWISCを使うが、最近学校や児童相談所で
WISCを使った場合は、K-ABCをつかうとのこと。
最近WISCを使った場合、すでに覚えている可能性があるため、
学習効果を考えてK-ABCをつかう。
通常テスト後1年半から2年程度は期間をあける必要があるとのこと。
小学生で、学習障害が疑われる場合は、読み書きの検査をすることもある。
人格検査では、エゴグラム、SCT、バウムテストを実施している。
小川先生によると、
日本で心理士によって頻繁に用いられている検査は、
1番 バウムテスト
2番 WISC
3番 SCT
4番 WAIS
5番 TEG
6番 ロールシャッハ
7番 HTP
8番 風景構成法
9番 ビネー式知能検査
10番 P-F スタディ
日本では投影法がよく用いられている。
そして質問紙法があまり用いられてない。
児童相談所では以下のテストがよく用いられている。
1番 K式発達検査(関西系の臨床心理士で多い)
2番 WISC
3番 バウムテスト
4番 DAP
5番 P-F スタディ
教育・発達関係の場所でよく用いられているのは、
1番 バウムテスト
2番 WISC
3番 HTP
4番 DAP
5番 ビネー式
発達障害のアセスメントについて、WISCやK-ABCが
よくつかわれるが、緘黙の子供に対してなど、
状況によってP-Fスタディをつかうこともある。
以上、現場の生の声がいっぱいの貴重な回だった。